
フランス人の夏バテ対策
2025/08/27
皆さま、フランスからボンジュール!
フランスは夏真っ盛り、黄金色に色付いた小麦の収穫が盛んに行われています。
今年の日本は特に暑い夏、ということで、とにかく暑さ対策が大切になっていることと思います。熱中症にはどうぞお気を付けください。
そんな暑い日々、フランスの夏はどうかということで、以前<フランスの猛暑日の過ごし方/2024.9掲載>というのをご紹介したことがあるのですが、今日はフランス人が夏全体を通してどんな対策をしているのかについてご紹介します。
<夏バテ>という単語はフランスには存在しません。
猛暑日を除けば、フランス人にとって夏というのは太陽とバカンスを満喫するための季節ですので、そもそもバテるという感覚がないのでしょう。
とはいえ、温暖化もあり猛暑日は年に数日だったのが、今ではおよそ平均12日とまで言われるようになり、この日数は地域によってはもっと長く、全体でも伸び続けています。
この猛暑日に当たると、どうしても疲労感を感じる、食欲が落ちるなどのフランス人のリアクションを目の当たりにし、それが<夏バテ>というものだ、と日本語では的確に指す言葉があるものの、こちらでは暑さのせいによる疲労、という言い方になり、日本とフランスの夏バテの概念の差を感じてしまいます。
フランスでは例年猛暑日には、熱中症や脱水症状で救急外来に運ばれる患者が続出、2024年夏季にはおよそ17000人もの方が病院のお世話に、そのうち3700人は猛暑が直接・間接的な原因により亡くなったということです。
以前ご紹介したコラム<フランスの猛暑日の過ごし方/2024.9掲載>では、朝の気温が低いうちに窓を開け冷たい外気を室内に取り込み、雨戸と窓をしめきり暑い外気温を遮断する、など一般的な対策をご紹介しました。この方法でも気温が35度を超える猛暑日には、特に都心部のアパートではやっぱりクーラーが欲しくなるくらいつらい。
日本では夏バテ対策として、日々こんな食品やメニュー、飲み物が良い・塩飴をなめるようにする・夏バテ対策ストレッチなど様々な工夫がいたるところで紹介されていますが、フランスではあまり耳にしません。
でも夏には、火を使わずに料理できるキャロットラペや生ハムメロンなどの冷たいサラダやパスタ・ライスサラダが人気で、冷野菜が体温を下げるなど理にかなっている食事メニューです。
あとは、体の表面温度を下げるため、brumisateur d'eauという水のミストスプレーが昔から人気。薬局やスーパーどこでも手に入り、特に赤ちゃんや子供の体温調整に欠かせないアイテムです。鞄に携帯して、いつでも顔・腕・足などプシューとすると、水の蒸発とともに皮膚の表面温度が下がります。
フランス政府が<暑さとの共存>というサイトを立ち上げました。
このサイトでは暑さ対策のコツが紹介されていますが、まさかの原始的なアイデアばかり。
・室内の気温を下げるコツとして、窓の外に雨戸や日除けの設置
・庭やベランダに木や鉢を設置して、日陰を作ったり外気温を下げる
・扇風機の上手な使い方紹介
・プールやショッピングセンター・図書館・美術館、森や湖などの涼しいところへ行くことを推奨
ここにある涼しいところに行く、というので困るのが、公共施設はすべてが冷房完備ではないし、冷房故障中ということも多いので、近所の涼しい施設は事前にリサーチしておく必要があります。また街中では森や湖があるとは限らず、あまり実用的とは言えないかも。
一番いいのは最寄りの教会(基本的に古い石造りなので中はひんやり)に行くのが涼しいかもしれません。
また冷房完備の話でいうと、小中学校などの教育施設には基本冷房がありませんから、猛暑日には学校から、教室が暑すぎるので自宅待機できるご家庭は学校に来ないでください、なんて通達が来ることも。この夏既にあった熱波による猛暑日には、特に南仏を中心に1350校が休校になったそう。
日本のように日常的に暑いわけではないので、とっさの暑さ対策が学校側で充分に取れないとして、単発でこういう対策を取り危険回避をします。
日本の毎日続く蒸し暑い夏を知っている身からすると、やはりフランスの夏は大変過ごしやすいです。
日差しが強く痛いものの、朝晩は気温が下がるうえに、毎日は続かない猛暑、それに湿気がぐっと低いこともあり、とても体が楽。
とはいえ、いかに熱波に覆われる猛暑日を安全に過ごすことができるか、年々猛暑日が増え続けるフランスで、日々の食事などによる夏バテ対策をとる日本の工夫が取り入れられるようになるといいなと思います。
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