日仏外食文化の違い

2025/03/27

皆さま、フランスからボンジュール!

最近は円安も相まって日本観光ブームが世界中で広まっていることもあり、たくさんの外国人観光客が押し寄せていますよね。
特に今は桜の花見シーズン、更に観光地は賑わうことと思います。

桜

そんな状況で、フランスにいても日本に旅行へ行った・行く予定という友人、知人もちらほら、幸修園パリ店にいらっしゃるお客様からも日本旅行のお話をよくお伺いします。
みなさん口を揃えて、あれが美味しかった、こんなものを食べて感動した、という食べ物に関する感想が非常に多く、どれも満足度の高い経験だったというご様子。

人

そんな私も、日本に帰国する度の楽しみのひとつとして、何を食べに行こう?というのがあるのですが、離れてこそ感じる日本の飲食産業の種類とサービスの豊富さ、に毎回驚かされます。

まずは種類。
日本では和洋中なんでも選択肢があり、またそのどれもが平均して美味しい、と言う実感です。
またデザートまで非常に豊富で、アイデアに富んだ見た目にも凝ったものがコンビニからケーキ屋さん、パン屋さん、カフェなど街中至るところで気軽に食べられます。

一方、フランスではカフェやブラッスリー・ビストロと呼ばれる気軽にランチ、ディナーができるレストランでは大抵ステーキやムール貝、オムレツ、など定番フレンチメニューが食べられます。
他にポピュラーなのがピザやパスタのイタリアン。
そして手軽なファーストフードの部類にケバブ、タコス、アジアン料理。
ただし、花の都パリ、区によってその点在場所に偏りが激しく、移住民の多い区になると後者のようなファーストフードばかりが立ち並びます。
また、カフェやブラッスリー、イタリアンも含め全体的に当たり外れがどうしてもあり、感じのよい接客か、食事が美味しいか、清潔な環境か、など入店前の口コミのチェックやたくさんの来店客で賑わっているかどうかの確認が大切になります。

日本にたくさんある安定感のある全国展開の大型チェーン店のようなレストランをフランスで思い浮かべると、思い付くのは数えるほどしかありません。
ムール貝のチェーン店、ステーキのチェーン店が複数、他にイタリアンやハンバーガーなど。

またサービス面で比較すると、お水におしぼりが着席と同時に出てきたり、とにかく清潔であったり、笑顔の接客や元気のよい挨拶など、日本ならではのサービスです。

水

一方こちらフランスでは、入店時にボンジュールの挨拶をしないと冷たくされてしまったり、などの注意点はありますが、おしゃべり好きなフランス人、一度店員さんと打ち解けると人間味のある温かいサービスを受けられます。

男

さらに価格帯を比較すると、日本での気軽なランチは1000円~1500円でたくさんの選択肢の中から充分な食事が選んで食べることができると思います。
一方フランスでは、20ユーロ前後(円安もあり、円換算すると3000円くらい!)、飲み物は別料金で、しかも当たり外れがあると思うと気軽に入ってみることもままならず、外食のハードルは一気にあがります。どうしても大切な記念品や誕生日などの機会に限られがち。

椅子

ちなみに某バーガーチェーンはメニューの平均が10~15ユーロ(1000円~2000円!)、パリで日本のラーメンを食べようものなら15~20ユーロ(2000円~3000円!)も。
だから、多くのパリジャン、パリジェンヌたちは自家製パスタサラダを詰めたタッパーを持参したり、パン屋さんでサンドイッチ、スーパーのお惣菜でランチを済ませる事が多いのです。

家族や友人との外食の機会も、日本ほどの頻度はなく、ランチであの予算ですから、夕食でレストランとなると一般家庭ではそう頻繁にはできません。もちろん、ちょっと一杯のコーヒーブレイクや仕事終わりのワインをカフェで楽しむことは気軽に行います。
そもそも、家族、友人と集まったりする際には家に呼ばれ合う事がベーシックなので(友人の友人など知らない人のおうちでも気にしません)、外食よりも家ごはんや家アペロ(アペリティフ)が好き。お金をかけず、持ち寄りで行うのです。

女

私自身も日本に帰る度に心待ちにしている飲食店での外食。
どこへ行ってもなんて安価で素晴らしいサービス、品質なのかと感動すら覚えます。
今日本を訪れているたくさんの外国人観光客が同じ気持ちで楽しんでいることでしょう。
この品質、接客レベルで同じようにフランスで食事をしたら一体いくら支払わないといけないのだろう?とふと想像しては、自国を誇らしく思うとともに、日本と比較した欧州の物価高やこの円安の行く末が心配になったりしてしまうのでした。