フランスのハーブティー、Tisane(ティザン)

2021/01/21

今回は、フランスのハーブティー、Tisane(ティザン)についてご紹介します。

皆さま、フランスからボンジュール!

年末年始の豪華なお食事で、胃腸が疲れている方も多い時期ですね。それは、時期的にフランスも同じ。連載第二回となった今回は、そんな胃腸を整えるのにもぴったりなフランスのハーブティー、Tisane(ティザン)をご紹介します。

そもそもお料理にもよく使われるハーブ。
ヨーロッパでは家庭料理でも、一流シェフでも、お料理には欠かせない存在です。お料理で使うハーブは香り付けが主な役割ですが、ハーブティーは療養のための植物抽出物で、体の調子を整える飲み物、として広く親しまれています。

どのくらい広く親しまれているかというと、お食事にお招きしたり・されたりすると、食後にはコーヒー・お茶・ティザン(ハーブティー)?とたいてい聞かれます。この食後の飲み物の選択肢の中にティザンが含まれるほど、一般的なものなんですね。

日本では、お茶というと日本茶・紅茶・ハーブティーなど広く「お茶」というくくりになりますが、フランスでは緑茶・紅茶などのテイン/ Théine(お茶に含まれるカフェインのこと)を含むものはお茶(テ/Thé)、ハーブティーのことはティザン/Tisaneと区別して呼ばれます。お茶(テ/Thé)はカフェインを含むエネルギーな飲み物、ティザン/Tisaneは体の調子を整える飲み物の区別です。フランス人の皆さん、いわゆるお茶の部類に入る日本茶についても、ハーブティーの視点から体にどんないいことがあるの?とよく聞いてきます。

ところでこのハーブティーの歴史、遡ること何千年。
古代の歴史では、治療のために植物を使ってきたことに起源します。
古くはメソポタミア・古代エジプト・インド(アーユルヴェーダ)・ペルー、そして中国などでこの植物による療法が発展してきました。その最も取り入れられてきた治療法がハーブティーです。東洋医学でいう漢方の位置づけですね。ハーブの種類によって効能は様々ですが、消化促進・睡眠促進・精神安定など、いろいろなBienfait(効能)が備わっています。

これらのBienfait(効能)をパッケージに記載したティーバックのハーブティーは、スーパーの茶葉・コーヒー売り場に種類豊富にたくさん陳列されています。デトックス・リラックス効果のあるものや、妊娠中にも安心して飲めるもの、授乳中のママ用の乳の出が良くなるものも人気です。
お茶

またフランスでは、自宅のベランダやお庭の家庭菜園でミントやタイム、パセリ、ローズマリー、ローリエといった育てやすいハーブを育てている人が非常に多く、とりたてハーブをそのままお湯で蒸らしてフレッシュハーブティーなんていう楽しみ方もポピュラーです。
ハーブ

そんなハーブを使った専門的な治療法が薬草。先述のように、古くからある植物による療法が薬草治療で、そういったハーブや薬草・精油などを扱っている古くからある薬草店のことをフランスでは「エルボリストリ」と言います。ハーブ薬局と呼ぶとイメージしやすいでしょうか。古くから続くこの薬草専門薬局もどんどん減っていて、今ではフランス全土でも15軒程度しか残っていないんだそう。そんな貴重なエルボリストリでは、植物薬剤師さんの専門的アドバイスのもと、体調の悩みに合わせてハーブティーを購入できます。
薬草

お料理にも、飲み物にも、治療にも使われるハーブ文化が根付いているヨーロッパ。フランスのハーブティー、Tisane(ティザン)とは、フランスで昔から続く生活の一部なのです。