フランスの猛暑日の過ごし方
2024/09/10
皆さま、フランスからボンジュール!
皆さま、梅雨から秋まで、連日の猛暑と湿気で日本の皆さんは大変な季節をお過ごしのことと思います。
どうぞしっかりと水分を取って日中の外出は控えるなど熱中症にはくれぐれもお気をつけください。(写真は話題のチュイルリー公園に設置された気球の聖火台)
一方で、こちらパリの夏(エテ/été)は北海道と同じ緯度ということもあり、夏でも割と過ごしやすい気候です。
パリでは、猛暑日に当たらない限りはエアコンが活躍する機会は少ないです。言い換えるとエアコンがなくても過ごせるくらいの気候ということ。特に日本の暑い暑い夏(なにもしていなくても汗が滴る)を知っている我々日本人からすると、かわいいもの。
湿気が極端に低いため、日光を遮断するだけで(外ならば日陰に入る)身体がずいぶん楽。
また、石造りの建物が多いため暑い空気の遮断ができ、室内の気温上昇を抑えられる、といった点がポイント。
基本的にパリ周辺だと夏の平均気温は25度前後、朝晩は15度辺りまで下がります。
一方で、地中海に面する南フランスは夏中日差しも強く気温も高いので訳が違います。
日本と同じようなモデルのエアコン設置率が高く、また日中の活動を避け、朝と夕方以降に活動する人が多いです。
とはいっても、パリ周辺も35度を越えるような猛暑日が年に数回、そう数回だけ!あります。
数回のことだから自宅には値段の高いエアコンを設置せずに乗り切るというのが一般スタイル。だからエアコン設置率が低いのです。またエアコンを持っている家庭や職場でも、日本のようなエアコンではなく、工事不要、簡易式の移動ができるもの(空気清浄機のような見た目で大きな空気口・排水チューブを窓から出す)が主流。
ところでどうやってこの猛暑日を乗り切るか、フランス流の方法をご紹介。
40度近くまで気温があがりジリジリと太陽が痛い!外気が高いとどうしても室温も上がってしまって辛い。そういう日は早朝のうちに窓を全開にして、涼しい空気を室内に取り込みます。そして日差しが強くなる昼前にはボレと呼ばれる雨戸(Volet)と窓を閉めきって、暗い中で日中を過ごします。笑ってしまうほど原始的な方法ですが、これが一番効果が高いです。そして湿気がないので、扇風機さえあれば一気に室内の快適度が上がります。
年に数回の猛暑の日には電気屋さんでは扇風機がすぐに売り切れてしまいます。
フランスでは猛暑日のことを熱波という意味の単語でカニキュールと呼びます。
2003年に歴史的な熱波がきて、多数の被害者(特に高齢者の方々を中心に)がでました。
その年のパリの最高気温は40度、これが現在の過去最高気温です。40度の中、エアコンなしで病人や高齢者が過ごすことがどれほどの負担か、想像に難くないでしょう。この熱波からの教訓として老人ホームや病院にエアコン設置をしたり、熱中症アラートの設定、また注意を促すテレビCMを流すなど様々な対策が以降取られています。
またこの2003年のカニキュールをきっかけに、政府は2004年にLa journée de solidarité(国民連帯の日)を設けました。孤立した状況にある高齢者や障害者を支援する活動に資金提供するため、国民が年に1日の無給労働をするのです。これは民間のすべての従業員に義務付けられており、社会保険料などと同時に自動徴収され、雇用主を通して基金に拠出金が支払われる仕組みになっています。
とはいっても、温暖化の進む地球で、フランスも例外なく平均気温が上昇、猛暑日が年々増えています。最近はフランスでもハンディ扇風機や首掛け扇風機、扇子などが街中でよくみられるようになりました。
そして猛暑日の注意予報がある日は、パリの主要駅(北、東、サンラザール、モンパルナスなど)でペットボトルの水がフランス国鉄のスタッフによって利用者の熱中症対策に配布されたりもします。
この数年では何より太陽が大好きなフランス人でさえ、暑さという感覚に気を付けるようになったのを実感します。暑さが危険ということを意識するだけで、多数のリスクを回避できます。暑さに対する危機感を常に意識しながら、夏の日常生活を過ごしてまいりましょう。
\シェアしてね!/