フランス人に愛される牡蠣
2023/11/28
皆さま、フランスからボンジュール!
年末ムードも高まり、フランス人にとって年に一度の大イベントであるノエル(クリスマス)が着々と近づいています。
年末やクリスマス・冬の間によく食す機会の増えるものと言ったら、牡蠣。
今日はフランス人にとってのご馳走、牡蠣についてお話ししたいと思います。
実は、フランスは牡蠣のヨーロッパ生産90%を占める牡蠣大国なのです。
もちろん消費量も欧州ナンバーワン!牡蠣が大好きな国なのですね。
クリスマスのごちそうには生牡蠣や貝類たっぷりの海の幸盛り合わせは欠かせません。
有名な産地と言えば、フランス北部から西部にかけての海岸線、ノルマンディ・ブルターニュ・ロワール河口地域あたりが有名です。特にルイ14世も好んだカンカルの牡蠣は世界的にも有名。
そして世界各国でRのつく月が牡蠣の美味しい季節と言われるように、英語とほぼ同綴りのフランス語でも同じように言われています。
Septembre(9月)からAvril(4月)がRのつく月、つまり冬の期間ということになりますね。まさに今の季節が旬です。
このRのつく月の格言は、ルイ14世の時代にモンサンミッシェル近くのカンカルからヴェルサイユへ牡蠣を取り寄せるのに3-4日かかるため、夏の輸送には牡蠣が傷みやすいというリスクが伴うことから来ているそう。
他にも一般的には、夏の産卵期は卵に栄養を取られ身が痩せやすいことや、夏の海水温では菌が増殖しやすいことなども挙げられます。
牡蠣の養殖技術やおいしさ・安全性では、世界でも有名な日本の牡蠣。
実はフランスで現在生産されているほとんどの牡蠣は、日本種の牡蠣がベースとなっています。それまで主流だったポルトガル種の牡蠣が、1970年代に伝染病によりほぼ全滅となったフランス。牡蠣が食べられなくなるという危機でした。
その時に日本が日本種の病気に強い牡蠣の稚貝をフランスに送ったことで、現在のフランスおよびヨーロッパで流通しているほとんどの牡蠣が日本種に置き換えられたのです。現在もフランスで牡蠣が食べ続けられているのは、日本の牡蠣のおかげなのですね。
ところで、日本では牡蠣の楽しみ方も豊富。
生、焼牡蠣、鍋、カキフライ。日本の牡蠣は肉厚なのでどう調理してもおいしいという印象。
一方でフランスでは、シンプルに剥いただけ!
大ぶりの牡蠣でない限りは加熱をする食べ方はあまり一般的ではありませんし、そもそも剥き身が売っていません。
今の季節なら、マルシェ・ド・ノエル(クリスマスマーケット)でも気軽に食べることができます。
シンプルに剥いただけで食べる、といってもポン酢で食べる日本とは異なります。
こちらの牡蠣は番号でサイズ分けされて売っているのですが、大きいものでも日本の程肉厚で濃厚な味はありません。さっぱりした風味で、塩気が強いです。
だからこそ加熱せずにそのまま食べる方がおいしく感じるのかもしれません。
一番ポピュラーなのが、ビネグレット(ワインビネガーと刻みエシャロットを混ぜたもの)。
あるいはレモン汁だけをかける。
また生牡蠣にはパンと塩バターのお供が欠かせません。シンプルな食べ方だからこそ、ちょっと高めの良いバターを使います。
あとは、これに辛口の白ワインかシャンパーニュを添えれば、立派なフレンチのご馳走ができあがり。
今年の冬は、ぜひフランス風の食べ方で牡蠣を楽しんでみてください。
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