まぼろしの50フラン紙幣
2021/01/12
机の引き出しからオモチャのようなフランスの旧紙幣が出てきました。
星の王子さまと作者サン・テグジュペリの肖像が描かれた50フラン紙幣です。
世界の人々からこよなく愛された物語『星の王子さま』。小さな王子さまが星々を旅して最後の星である地球に訪れた時、仲良しになったキツネから愛と絆の手ほどきに「本当に大切なものは、目には見えないよ」と諭される場面に胸がキューンとなりました。
ところで皆さまの「大切な心」は、いったい体のどこに有るのでしょうか?
胸のあたり、それとも頭の中ですか?どこを探しても心は見つかりません。
と思いきや、心は姿形に現れます!例えば、心が喜べば体は踊り、心が悲しめば体は力を失い、心が病めば体も崩れます。これは心身和合の姿です。
この理に習い、お茶の稽古では先ずは所作の形から入ります。姿形を整えることにより、自らの心を整えていくのです。作法の立ち居振る舞いには、心のすべてが現れるからです。
道具の扱いでは、重たい物は軽く、軽い物こそ重たげに、右手で扱う時には心は左手に、道具という単なる物にとどまる型に、自らの切なる思いを吹き込むことによって、型を「形」に昇華させるわけです。
お点前では、序破急の流れに沿って蝶のように舞い、加えて茶花の生かし方や香の聴き方、書画の運筆や懐石の調理などを慈しみ、さらに言の葉の旋律や野趣に漂う風や水の音色などに親しみながら「真・行・草」のバリエーションに身を委ね、様々な要素を調和させ心地よい緊張感を体得していきます。
つまり心身和合とは、先さまの気持ちを思いやり、感謝と敬いを心に秘して所作を積み重ねれば、体も自然と美しい姿になるという道理を意味します。
そして、この鍛錬の旅は「守→破→離」へと茶の道は続くのです。
季節が巡り厳しい冬を乗り越えると、やがてうららかな春が帰ってきます。
とかく私たちは、美しい花々に目を奪われますが、その愛しい花を育てあげた最も大切な地中の根は、大地に隠れて見ることが出来ません。
心で見なければ見えない、神秘に満ちた世界です。ひょっとしたら、そこで明るく未来を照らす、希望の星に出会えるのかもしれませんね。
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