フランス版もったいないの精神

2023/05/31

皆さま、フランスからボンジュール!

フランスは一年で最後の学期を迎え、7月から始まる夏のバカンスに向かってまっしぐら。
各自バカンスの予算確保のための節約に加え、日々続く物価上昇の影響でフランス人たちのお財布のひもはさらに硬くなっている印象です。

今日はそんなフランス人たちが日々積極的に力を入れている食品ロス(Anti-Gaspillage)の対策をご紹介します。
女性
日本のスーパーでは、昔から見切品売り場がありますね。
これは食品ロスを減らす取り組みとして最も消費者が直接的に実感しやすいものかと言えます。
もちろんフランスのスーパーにも<Anti-Gaspillageコーナー>が 設置されています。
カート
フランスでは2016年2月3日に世界初の法律『食品廃棄禁止法』が制定されました。
売り場面積が一定以上の広さがあるスーパーに適用され、売れ残り食品の廃棄を禁じる法律となります。
大型スーパーでは、売れ残った食品は廃棄せず、フードバンクなどの団体への寄付や飼料として活用しなければなりません。

家族
この法律が施行されたことにより、大型スーパーでは見切り商品をまとめて陳列する割引コーナーを拡大設置し、消費者が手に取りやすいように工夫を凝らしています。
以前は、見切り商品というとケチな人と見られたり、傷んでいる食品を買いたくないという人も多くいましたが、もともとエコロジー志向の高いフランス人には、コロナ禍と物価高騰が後押しする形で、近年非常に注目のコーナーとなっています。

写真はフランス政府が2015年10月16日、国連が定めた国際食料デーに合わせて、食品ロスについて考えようと打ち出した際に発表したフリーバナーや、食品ロスの公式マーク。
リンゴ
また、2015年頃から盛んになってきたのが、食品ロスのアプリです。
レストランやファーストフード店・パン/ケーキ屋・小型スーパーなどが見切り食品をアプリで出品販売をするのです。
消費者は自分の家の近くのお店で売れ残りとなっている食品をアプリ内で比較し、そのままアプリで予約・引き取りに行くという仕組み。消費者は安く購入することで食品ロスを減らす試みに協力し、出品側は食品ロスを確実に減少できる手段として活用しています。
有名なパン屋やレストラン・チェーン店が出店しているので、美味しいものを安く食べられるととても人気です。
スマホ

また食品に限らず、食品ロスから派生した法律として、衣料品店の売れ残り衣料の廃棄禁止法案やファーストフード店での持ち帰り以外での使い捨て容器の使用禁止法案など、様々な分野にAnti-Gaspillageが広まっています。

これは、日本ではごく当たり前に昔からあった精神、もったいない/MOTTAINAIと同じ感覚。
もちろん、現代では環境保護が取り組みの主軸ですが、こういう気持ちを世界中が持つことで各方面にメリットが広がっています。
ゴミ
今や世界共通語ともなった、もったいない/MOTTAINAI。
これからもたくさんの人に広がり続けることを期待しています。