春の訪れを告げる野菜、アスパラガス

2023/04/26

皆さま、フランスからボンジュール!

春も本格的にやってきて、フランスでは衣替えをしたかのように、スーパーやマルシェで並ぶ野菜もすっかり冬野菜から春野菜に入れ替わりました。
買い物
そんなフランスの春野菜の代表格がアスパラガス。
日本では季節を問わず入手ができますが、フランスでは4月頃から初夏までしか出回らないので、アスパラを目にすると春が来たと感じます。
白アスパラ
そんなアスパラガス、色々な種類がありますが、まずは一般的な緑のグリーンアスパラ(Asperge verte)。
グリーンアスパラ
他には、ホワイトアスパラ(asperge blanche)と紫アスパラ(asperge violette)。
これらはお隣ドイツの方が有名かもしれませんが、フランスでも好んで食されます。
いずれもビネグレット(ドレッシング)やオランデーズソースをささっと作り、茹でたアスパラにかけて、シンプルに季節の食材を活かした食べ方をします。
茹でアスパラ
そして、フランスの高級食材のひとつ、アスパラソバージュ(通称、野生のアスパラ。仏名はaspergetteあるいはasperge des bois/森アスパラ)。
これは厳密にはアスパラガスではなく、緑色のつくしのような見た目をした山菜です。
つくし
収穫できる期間が5月の非常に短い期間で、市場に出回る時期が限られます。
ワラビのようにつるっとして少しぬめりがありますが、見た目のエレガントさと発色の良さ、限られた時期にしか食せないという希少価値から高級フレンチレストランで好んで使われます。
フレンチ

日本で入手するのは少し難しいかもしれませんが、フランスでは五月の限られた時期にマルシェで出回ります。
マルシェ
ちなみに、フランス人でも知らない方が多いのですが、フランスで<asperge sauvage>とはざっくりとした言い方で、上記で指しているアスパラソバージュ<aspergetteあるいはasperge des bois>と、アスパラソバージュ<asperge sauvage>は別物なのです。両者とも森に自生する植物なのですが、前者は上述のように高級レストランが好んで使用するものでアスパラの特徴である<はかま>がありません。後者は地中海沿岸で自生するもので見た目もまさに野生のアスパラ、<はかま>もあります。苦みが強いそうです。フランス人もこの違いを知らずにいずれもアスパラソバージュと呼んでいます。ややこしいですね。
ソバージュ
私は日本にいた時からグリーンアスパラが大好物です。
日本ではあまり気にしたこともなかったのですが、フランスで初めて耳にしたある話に驚きました。アスパラを食べると尿のにおいがいつもより臭くなるとか。そして、それを確かに身をもって体験したのです。
フランス人作家マルセル・プルーストが1900年初頭の作品の中で、アスパラを食べた後の尿のにおいについて、<シェイクスピアの夢幻劇のように、私の尿瓶を香水瓶にかえてしまう>という表現をしました。そういう表現の仕方があるのかと驚きですが、これについてはアスパラを食べた後のにおいの変化を感じる嗅覚をもつ人とない人にわかれるらしく、今も正確な解析はできておらず、議論が続いているそう。

まさに旬のアスパラガス。
この春も今しか味わえないアスパラガスの味わいをしっかり楽しみたいと思います。