古代からの野菜Légumes oubliésとは

2022/08/31

皆さま、フランスからボンジュール!

フランス人にとって、とても大切な夏のバカンスが終わりに近づき、街中では早くも秋の気配が漂ってきました。
パリジャンがバカンスから帰ってきて、空っぽだったパリにも少しずつ人が戻ってきています。
ここからは新年度、子供たちは新たな学年へ進級し、新たに一人暮らしを始める大学生たちも増える時期です。
フランスではこんがり日焼けで新たな旅立ちの季節を迎えます。

海&子供
そんなフランスの夏の終わりは長く続かず、冬に向けて一気に加速します。
ここから一気に寒くて長い冬がやってきます。

そんな季節に食べたくなる野菜が古代野菜。ご存じでしょうか?
ここ10年ほどフランスではブームで、古代野菜(Légumes anciens)や忘れられた野菜(Légumes oubliés)と呼ばれるものです。

野菜
いわゆる古来種の野菜で、品種改良により徐々に市場から消えていったと言われています。
これらの野菜は香りが独特で味が濃く、くせの強いものが多いのですが、フランスの有名シェフたちがそこに着目し、料理のアクセントに使い始めたことでブームが始まりました。

どんなものがあるかご紹介します。

まずは代表的なもの。
日本でも知られる野菜ですが、Topinambour(菊芋)。
スープやピュレ、オーブンでグリル、そして生食もできる優れもの。
日本では、そのカロリーの低さから糖尿病食やダイエット食に重宝されるなど、健康野菜として有名ではないかと思います。
生から軽い加熱まではシャキシャキと触感が楽しめます。
煮込むとホロホロになりますが、火の通りはジャガイモよりも早いので調理が楽。
栽培・収穫が非常に簡単な生命力が強い野菜なので、戦争中食料難の最中によく食べられていました。黄色の花を咲かせて旺盛に茂ります。

菊芋
続いて、Panais(パースニップ)。
人参を白くしたような見た目の野菜で、人参よりもセリ科独特の香りが強く、苦みがあります。
ポタジウムを多く含むということで心臓に非常に良いと言われています。
煮込み料理によく使われますが、ピュレやポワレにして肉や魚に添えるとよく合います。

パースニップ

他にはRutabaga(ルタバガ)。
蕪のような見た目ですが、蕪科ではなく西洋アブラナの変種だそうです。
これも戦争時によく食べられた野菜の一つです。
ベーコンなどと合わせて炒めたり、ポタージュスープ、グラタンなどにできます。

ルタバガ
最後にご紹介するのはCrosnes(チョロギ)。
ぎょっとする見た目のチョロギは中国が原産地。
フランスでは、なぜか日本のものと認識されているようです。
日本同様酢漬けにしたり、他には炒め物、クリーム煮などにも使われます。

チョロギ

まだまだご紹介したい古代野菜はたくさんありますが、また別の機会に。
古代野菜はやはり古来種の野菜だけあり、どれも生命力が強いのが特徴。
生育が良いので、栽培が非常に簡単。
Topinambour(菊芋)に至っては、傷んだものをコンポストに捨てたら、にょきにょき生えてきて大量に収穫できてしまった、なんてことが良くあります。

古代野菜はフランスではスーパーや八百屋で簡単に手に入ります。
日本ではスーパーでの入手は難しいようですが、道の駅や直売所などで手に入るようです。
食べやすく品種改良された現代野菜もおいしいですが、たまには原点回帰で古代野菜を楽しんでみてはいかがでしょうか?