フランスの学校給食

2022/06/21

皆さま、フランスからボンジュール!

フランスでは7月に入ると夏のバカンスが始まるので、この時期はソワソワ、少し浮足立った空気が流れます。
そして今まさに子供たちは約2か月間の夏休みを間近に控えた学年末。
学校では課外授業や遠足などのイベントが増え、授業そっちのけで普段よりゆるい学校生活を過ごします。

授業

今日はそんな子供たちが食べているフランスの学校給食がどんなものか、ご紹介したいと思います。

まず、フランス語で給食は、Cantine(キャンティーヌ)と言います。
給食だけに限らず、学食・社食などの食堂も同様の呼び名です。
学校と連携した地域の学童にあたるPériscolaire(ペリスコレール)と呼ばれる施設が管轄にあたります。
午前の授業が終わったら、Cantine(キャンティーヌ)の提供される食堂に集まり、給食がスタート。
大体、幼稚園から小学校までが一つの施設に集まっていることが多いので、この食堂に多学年が集まります。
そう、3歳から始まる幼稚園はフランスでは義務教育なのです。

給食

ところで、このお昼休みは先生たちにとっても休憩の時間。
先生は別でランチを取るので、Périscolaire(ペリスコレール)のスタッフが子供たちのお世話をしてくれます。

ただし、生徒全員が給食で食事をとるわけではありません。
午前と午後の授業の間はお昼休憩なので、一度家に帰って食事をする子供もいれば、給食で食事をする子供もいるわけです。家庭により選択肢があるのです。
ただ、共働き家庭が多いフランスでは、親がお昼に学校へ子供を迎えに行って、家でごはんを食べさせて、また学校へ送り届ける、という往復の繰り返しはほぼ不可能なので給食を選択する家庭が多いです。

また日本のように、子供たちが給食当番をする配膳システムはなく、自分たちでお盆に食事をとるか、すでにテーブルにセットされているような形で、食事をとります。

配膳

食事後は一般的に午後の授業が始まる14時までは子供たちの自由時間。
その後、自分たちのクラスへ戻り、先生にバトンタッチとなります。

ちなみに、給食費の費用は家庭により異なります。
日本は一律だと思いますが、フランスでは低所得家庭から高所得家庭に何段階かに分けられて、給食費やPériscolaire(ペリスコレール)の学童預け費が決定します。
ちなみにパリ市は所得ごとに十段階に分けられ、給食一食あたり0.13ユーロから7.00ユーロまで設定額が定められています。
所得によって負担額を補い合うというのは、非常にフランスらしい平等の精神です。

食べているものはどんなものかというと、前菜・メイン・デザート・乳製品とフレンチ式。
それにアレルギーやベジタリアン食、宗教食にも対応していることがほとんどです。
小さなフランス人たちがナイフとフォークを使って、食べている姿を想像するとかわいいですね。

こちらはある給食のメニュー。フランスらしい食事内容ですね。
オーガニック素材か、宗教対応のために豚肉を使っているか、給食センターの手作りかなどの表記が明確にされています。

パリ市内の給食だと写真のメニューよりももう少し宗教・アレルギー対応、ベジタリアンなどにストイックに対応したメニュ―構成の場合が多いです。

メニュー

また5月末にパリ市議会は、2027年から100%オーガニック給食に切り替え、週二回のベジタリアン食を導入するという法案を決議しました。
この法案には50%の材料調達をパリ市から250KM圏内から行うことも含まれるようです。
野菜消費を促す目的は、もちろん健康に対する意識と、もう一つは野菜消費をすることで温室効果ガス削減につなげること。さらに原価のかかる肉や魚のメニューの日を限定することで、集中して予算を充て食事の質を上げる、ということなのです。
このベジタリアン食については賛否両論ですが、さすがサステナブル先進国のフランスの首都パリといった感じですね。

野菜

日本では給食当番も、いただきますの号令も、地産地消メニューも、先生と一緒に食べることも、これらを教育の一環ととらえているからこそ成り立つもの。
今回ご紹介したフランスの給食の風景。ここから感じられるのは、食育教育の一環というよりも、公的サービスの一環としての比重が重いものです。
日本で給食当番の白衣を着て育った私としては、団体行動や社会ルールなどはこういった場面で自然と身についたものなのだろうと、しみじみと感じています。