迎春 ~いつも心に花を~

2022/01/15

花は、いつも「約束」を守ります。

うららかな春が訪れると、野山には色鮮やかな花たちが踊りはじめます。
春のたおやかな風に包まれながら、可憐な花たちは約束どおりに美しく咲き
だします。
しかし、花は自らを美しいとは思っていません。そうなのです。花が美しい
のではありません。花を美しいと、いとおしむ貴方の心が美しいのです。
つまり、貴方が美しい花となった瞬間です。いつも心に花を咲かせ、楽しい
明日を夢見ながら過ごしていきたいものですね。

さて、能楽最奥の秘曲に観阿弥の『卒都婆小町』という物語があります。
とある寂びれた小道で高野山の僧が、やつれ果てた老女に出会います。
こともあろうに、その老女は墓標の卒都婆に腰をかけ物乞いをしています。
その有りさまに、僧は老女をとがめるのです。ところが、百歳を超えた老女
は、僧の説法を見事な弁舌でことごとく論断します。

その聡明な雄弁さに僧は敬服し、老女に名を尋ねると「かつては絶世の美女
とたたえられた小野小町の成りの果て」と、さも悲しげに応えるのでした。
僧は、老女の美しい心の生きざまに「たとえ深山の朽木なりとも、花咲く木
は隠れなし」と、年老いた小町を励ますというお話です。

希望

人は、年を重ねただけでは老いません。夢を失ったときに、初めて人は老い
るのです。希望を失った心老いた若者に出会うほど辛い現実はありません。
老いとは長い歳月を重ねた年歴ではありません。心に花が有るか否かが問わ
れるところです。

私たちは心に花を絶やすことなく、希望に満ちた生き方をしなければなりま
せん。それは、自らが『幸せな運命』を呼び寄せる処世の心得だからです。
聖女マザー・テレサは『運命』について、次のように語っています。
「心の中にある『思い』に気をつけてください。その思いはやがて『言葉』
になります。その言葉に気をつけてください。言葉は『行動』になります。
その行動に気をつけてください。行動は『習慣』になります。習慣に気をつ
けてください。習慣は『性格』になります。性格に気をつけてください。
その性格は、やがて貴方の『運命』を創ります」。
この言葉は、イギリスの元首相マーガレット・サッチャーも大切にしていた教えです。

微笑み

ところで、自然界には『万有引力』が働いています。この万有引力は物質間
だけに働いているのではありません。目には見えない心の世界にも同じよう
に引力は働いています。

例えば、喜びは喜びを呼び、寂しさは寂しさを引き寄せます。つまり、幸せ
を願えば『幸せな運命』を呼び寄せることが出来るのです。貴方の心の持ち
ようで、いかようにも『運命』は変えることが出来るわけです。

迎春にあたり、やさしい微笑みで人々に喜びの花心を届けてみましょう。
貴方の微笑む姿に、周りも花のような笑顔を浮かべるにちがいありません。
そのように、春の自然が語りかけているように思います。
自然を愛する者は、自然からも愛される。これが『心の万有引力』の約束事
です。